息子の誕生予定日は、私の誕生日の4日後だった。
年を取るのが先か、母になるのが先か、
ささやかな競争が始まった。
誕生日の前日深夜、出産の兆候は始まった。
『おしるし』があったのだ。
朝になるのを待ち、病院に連絡。
「入院の準備をして、来院して下さい」と言われた。
病院でモニターをつけたり、子宮口を確認するもまだ出てくる兆しはなく、
1度帰宅することになった。
帰宅した私を襲ったのは大量の出血。
内診が原因のようだが、インターネットで検索して、
早期胎盤剥離を疑ってしまった私は不安になり、また病院に行った。
初産は不安だらけなのだ。
やはり出産の兆しはなく、帰宅させられた。
夜11時頃微弱陣痛が始まり、再再度病院へ。
3度目の正直で、今度は入院になった。
病院で朝を迎えた。
この日は私の誕生日だった。
陣痛はあるものの、一向に進まない。
病院の一角でマタニティビクスが行われる日だったので、
先生の許可を得て参加した。
出産が進む事を願っていた…。
が、夜になっても子宮口が開かず、先生から
「陣痛促進剤を使いましょう」と提案があった。
『もしかしたら誕生日が一緒になるかもしれない』
そんな淡い期待を抱いて、陣痛促進剤を使った。
促進剤を使ったことで、痛みは増していった。
小さな病室で夫と二人の時間が長かった。
痛みを和らげるために、ヨガボールを使おうと私が動くたびに、
夫がヨガボールに座る。
ほぼ一晩中、夫にイラっとしていた。
陣痛促進剤を使ったにもかかわらず、
朝になっても子宮口は開かなかった。
「これはおかしい?赤ちゃんに何か問題が起きているのかも…。」
となり、急遽レントゲンを撮った。
す・る・と・・・
骨盤が狭くて、赤ちゃんの頭が引っかかっていることが判明。
自然分娩では出てこられないので、緊急帝王切開となった。
『骨盤が狭い』私には心当たりがあった。
マタニティビクスをやっている時に、ビクスの先生から
「もしかしたら骨盤狭いかもよ」と言われたことがあったのだ。
でも、一緒にビクスをやっていた友人が
「私は先生に骨盤狭いかもしれないからレントゲン撮影しますって言われて、
大丈夫だったよ」と言ったので、
『私は検診でそんなこと言われていないから、大丈夫だろう』と勝手に思っていた。
ビクスの先生の忠告が正しかったのである。
午後から緊急帝王切開手術が行われた。
赤ちゃんを取り出し、目の前に連れてきてくれた。
そのとたん安堵したのか、深い眠りに落ちた。
丸2日寝ていなかったのだから、無理はない。
ただ耳元で赤ちゃんの泣き声だけが、鳴り響いていた。
こうして誕生したのが、息子君。
1日違いの誕生日となった。
生まてから数か月、息子の頭には天使の輪
つまり、外にでようと一生懸命戦った証
骨盤にがっちりハマっていた跡が残ったいた。